コラム

ドクターコラム①

 平成から令和に元号が変わり、もうすぐ1ヶ⽉が経とうとしています。クリニックは平成29年10⽉に開院したので、平成を経た期間はたったの1年6か⽉、残りの多くの期間は令和の時代を過ごしていくのでしょう。いつ何があってもおかしくない世の中ですが、平和の基盤となる社会的な⼟台が崩れないでほしいと切に思っています。
⼦どもの⼼の発達を考える上で⼤切な概念は、「基本的信頼感」というものです。何があっても親は⾃分を受け⼊れて愛してくれる、困ったときには助けてくれる、そういう親⼦関係の⼟台です。 そこから、対⼈関係の基礎が築かれ、⾃分は社会に必要とされている、家庭や学校、職場といった社会に居場所がある、という感覚が育っていきます。ところが、親⼦ともども⼈⽣の荒波に揉まれることは少なくありません。周りを頼りにできない、助けてくれない、⼀⼈で頑張らなければいけない、そういった孤⽴した状況は親も⼦も追い詰めることになります。⼦どもの⼼のSOSは、情緒不安定さのほかに、⾝体症状や適応上の問題として現れます。発達の偏りが背景にあることもあります。クリニックとスタッフは、そういう時に助けになる存在でありたいと思っています。もちろんできることに限りはありますが、着実に⼒をつけていきたいと考えています。

「おだやかな⼈⽣なんてあるわけないだろ。」

 さて、今⽇ご紹介したいのは、スナフキンの名⾔です。
 スナフキンは、ご存知ムーミンの主要キャラクターで、冬になると南の国に旅に出るひょうひょうとした⾃由⼈です。
私は、実は「想定外」が苦⼿な⼈間です。だから、経験的にいろいろなパターンの「想定」をして、ダメージを少なくしようと⾃⼰防衛する傾向があります。ですがそれでもやはり、「かなりの想定外」が⼈⽣では起こるもので、打ちのめされたことがありました。そんなときに、スナフキンの「おだやかな⼈⽣なんてあるわけないだろ。」という⾔葉が響きました。想定できなかった私が⽢かった・・・という後悔を救ってくれました。視野が広がると、⽴ち上がるのは⾃分⾃⾝の⾜であっても、いろいろな⼈が⽀えてくれていることに気が付きました。
 とはいっても、本当はおだやかに暮らしていきたいんですけどね。