コラム

心理コラム

 ⼼理療法やセラピーと聞くと、何を思い浮かべますでしょうか?ここでは当院で⾏っている主な⼼理療法を紹介します。

 まず⼀つ⽬は、セラピストと対話をする『カウンセリング』です。セラピストと話をすることで⾃分の考えが整理されたり、これまで考えもしなかった⾃分の思いや傾向などに気づくことがあります。また、話をすること⾃体で気持ちがスッキリしたり、聞いてもらったことが安⼼感につながる事もあります。
 セラピストは基本的に、アドバイスよりも傾聴や共感の姿勢で接します。また、話す内容も指定したりせず、⾃由に語ってもらいます。もちろん困っていることを話して、⼀緒に考える時もありますが、⼀⾒関係ないような話題から、⼤切な気づきや新たな発⾒が⽣まれることも決して珍しくありません。そして、このようなセラピストとのやりとりが時には安全な感覚をもたらし、時には鏡のように⾃⾝を客観的に⾒つめるきっかけになるのです。

 もう⼀つは、必ずしも対話を必要とせず、遊びを介して⾏われる『プレイセラピー』です。
 ⾔葉で⾃分の気持ちや考えを伝える事が苦⼿なお⼦さんの場合や、まだ⾔葉を上⼿に扱えない⼩さなお⼦さんなどに⾏われます。
院内にはプレイルームと呼ばれる部屋があり、そこには⼈形やミニカーなどのおもちゃや、折り紙やお絵かきの材料などがあります。プレイセラピーでも、⾃分や他者を傷つけてしまう恐れがある場合をのぞき、基本的には⾃由に遊びます。
 セラピストは遊びの様⼦を⾒守ったり⼀緒に遊びに加わったりしながら、症状や⾏動などに表れているメッセージを理解するよう努めます。また、遊び⾃体には、コミュニケーションや社会性を育てる機能があるとも⾔われています。
プレイセラピーでは、遊びの中で表れてくる⾃分⾃⾝の課題や葛藤、⾔葉では表現できない思いなどが⾒いだされたり、セラピストと共に居る中で成⻑の促進や安⼼感がもたらされたりするのです。

 これらのセラピーは、⼀般的には即効性のあるものではなく、時間をかけながら少しずつ変化していくものです。また、セラピーを有効的に機能させるためには、時間や場所などの⼀貫性や、お⼦さんとセラピストの『2⼈だけのもの・ここだけのもの』という個別性も必要であると⾔われています。

 これらの環境も含めた『枠組み』もセラピーには⼤事な要素なのです。
 セラピーを実施する場合は、⽬的や頻度などについて打ち合わせをさせていただきます。また、期間をおいて振り返りや再設定なども⾏わせていただいています。

⼼理検査について

 当院で⾏う⼼理検査には、発達検査、知能検査、性格検査などがあり、お⼦さんの年齢やご相談内容に応じて実施しています。基本的には、⼼理⼠と1対1で、30分〜1時間半程度で⾏います。初めての場所で、新しい課題を次から次へと答えていかなければいけないので、お⼦さんにとっては、緊張感や疲労も⾼くなる時間かもしれません。「⼼理検査って何するの?」「⼼が⾒透かされる…?」と不安に思う⽅も多いと思いますので、⼼理検査についてご説明致します。

 発達検査と知能検査では、実際に具体的な道具を使って作業してもらったり、⾔葉でのやりとりだけで考えてもらうなど、決められた課題を⾏います。そして、⾔葉の発達や⼈とやりとりする⼒、空間能⼒や記憶⼒・推理⼒、⼿の巧緻性などのさまざまな能⼒を、検査中のお⼦さんの様⼦も踏まえて判断していきます。お⼦さんによっては、機械的に数字を覚えるのは得意だけど、⾔葉を使って説明するのが苦⼿であったり、⾒て覚えるのは得意だけど聞いて覚えるのは苦⼿など、それぞれ特徴があります。そのようなお⼦さんの認知的な得意不得意を明らかにして、今後の⽀援に活かしていこうとするのが、検査の⽬的です。

 性格検査には、質問を読んで〈はい・いいえ〉などで答える〈質問紙法〉と絵を描いてもらったり、絵を⾒て思い浮かぶことを述べてもらうなどの〈投影法〉があります。〈質問紙法〉は、本⼈が意識している部分が表れるのに対して、〈投影法〉は無意識的な⼼の深層が表れると⾔われています。⼀般的に⼼理検査といってイメージされるのは、〈投影法〉であるかもしれません。⼼理⼠といっても、話されていない⼼の内が読めるわけではありません。お⼦さんが表現してくれたこと(あるいは表現されなかったこと)から、読み取って判断していくので、お⼦さんの協⼒は不可⽋です。